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奈良平安の昔から、朝廷では旧暦4月1日に夏服に着替え、10月1日には冬服に替える「更衣(ころもがえ)」を行ってきた。これが下々に伝わり、江戸時代には庶民の間にも定着した。明治になって新暦に切り替わると、夏服への衣替えは6月1日、冬服は10月1日、場所によっては11月1日ということになった。
近ごろは衣料品が安価に大量に出回り、嗜好の多様化も手伝って、巷にはさまざまなファッションが満ちあふれている。だから冬や春先でもまるで夏服のようなものを着ている人も多い。逆に冷房が行き渡ったせいか、真夏でもジーンズに黒っぽい長袖シャツという若者もいる。勤め人は相変わらずスーツにネクタイ姿である。
そんなところから冷房用エネルギーの節約をはかろうと、背広をぬぎネクタイをはずしたスタイルが提唱されるようになった。まことに結構なことだが、それを称して「クールビズ」という何語だかわからない嫌な言葉をつけた。どうして夏姿とか、あるいはちょっとしゃれて「夏ごろも」といったちゃんとした日本語をもちいないのだろう。
夏衣に着替え、「1日乗り放題切符」を買って都内の名所をあちこち巡りながらそんなことを思う。
(大澤水牛、ペン画・丸山敏雄)
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