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高度経済成長から一転、未曾有の不況に陥り、それと符節を合わせるように犯罪が多発するようになった。八〇年代までの日本は世界一安全な国と言われていたのだが、今ではそれも昔話。全国的に有名な繁華街などは無いけれど、人情豊かで住みやすい住宅地の広がる蕨。そんな町に通り魔事件まで起る時代である。
どうしてこんなことになったのか。理由はさまざま挙げられている。曰く、高度成長・バブル崩壊の過程で生じた拝金主義と何をやろうが分からなければいいという、いわゆるバレモト主義、ブランド盲信社会が生み出した偏差値教育とそこから落ちこぼれた者の自暴自棄的思考、無原則的な国際化による不法入国者・滞在者の激増等々、数え上げればきりが無い。しかし、それらの「理由」を一つ一つ見詰めると、すべてがどこかでつながっているように見える。
それは、私たち日本人が「自分の事しか考えなくなった」からである。「向こう三軒両隣」意識を古いものとして排斥し、他人事には一切干渉しないが、自分の事にも絶対に口をはさませない。一見極めてすっきりしてはいるが、こういう思想の人たちの集まる社会の隙間に、良くない事が次々に忍び込んで来る。
やはり「町おこし」という、自分の身の回りにもちょっと目を向ける、適度なお節介が必要な時代になっているのではないか。
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