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わらび新聞

地蔵の小径バックナンバー No.5 一覧に戻る 1 2 3 4 5 6 7 8 9

地蔵の小径(復刊41号)

参院選が終わった。投票率はどうにか前回並みにはなったが、56%ではとても胸を張れない。庶民が政治や行政の現状に評価を下せる唯一、公式の手段が「選挙」である。にもかかわらず、投票しないというのはどういうことなのだろう。「棄権」は現状容認と見なされる。つまりこれは、いろいろ不満はあるけれど、何とか平穏に暮らしていけるから「これでいいや」という人が多いということなのだろう。いわゆる「平和ボケ」である。

今回の結果についてマスコミは民主党躍進などとはやしているが、何のことはない、共産党と社民党がだらしなくて、その分が民主党に流れただけである。

自民党は公明党とそのバックについている創価学会の後押しで、よろめきながらも相変わらず議会を支配できる体制を維持した。ただ一点、今回良かったなと思うことは、国土交通省や農林水産省などの元高級官僚候補が相次いで落選したことである。中央官庁が政治も仕切るという図式がほんの少し崩れ始めたのかも知れない。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊42号)

今年も「8.15」が巡ってきた。8月15日と言っても、若い人たちの多くは「なにそれ」などと言う。年配の人でさえ、「ああそう言えば今日は終戦記念日だったか」なんて言っている。敗戦から既に59年。忘れてしまうのが当然かも知れない。

あの無謀な戦争で殺された戦没者は310万人。国内に残された女性と子供は暗く辛い生活を強いられた。そこへ、米軍の無差別爆撃による大空襲。これで死んだり、傷ついたりした人はもう数えきれない。そういう大きな犠牲を払わされたのに、それを忘れてしまえるというのは、むしろ幸せだとも言える。

しかし、それを決して忘れない人たちが何億人もいる。あの戦争のとばっちりでひどい目に遭った、中国、韓国をはじめアジアの人たちである。日本の政治家が靖国神社を参拝するのを、彼らが怒るのは無理もない。尊い犠牲者に哀悼を捧げるのを怒っているのではない。あのひどい戦争を起こした責任者が祀られていることに、彼らは怒っているのである。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊43号)

朝日新聞の川柳欄に「俺様のNHKにあきれはて」というのが載っていた。「皆様のNHKは皆様の受信料で成り立っています」なんて猫なで声で言いながら、その実、受信料の横領、ソウル支局長の架空取材費請求、芸能プロダクションの下請け業者からの金品受領と、乱脈ぶりが次々と明らかになって、ついに会長が国会に呼び出される始末である。

NHK(日本放送協会)は特殊法人で、国民から半ば強制的に受信料を取ることが法律で認められている。これほど楽な商売は無い。どうしてこんな特権を認めているのか。それは、日本国内ばかりでなく世界中で発生するさまざまの出来事を公平中立に報道する情報機関が、国民生活に無くてはならないものだからであり、視聴率を気にしなければならない民間放送では不可能な情報発信に責任を持たせる見返りなのである。

そのNHKが、最近は民放を真似した低俗番組を乱発したり、番組の合間に自己宣伝を繰り返したりがやたらに目につく。乱脈経理以上にこれは問題である。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊44号)

大手スーパー、ダイエーの再建問題が二転三転したあげく、産業再生機構の手にゆだねられることになった。政府は大手流通企業が倒産すると商品を納入している取引先企業に打撃を与え、従業員の大量解雇も引き起こすから、産業再生機構の手で再建するという。UFJはじめ大手銀行は、再生機構に頼めば税金を使って不良債権を買い上げてくれるわけだから、この方法しか無いとダイエーに迫った。ダイエーは再生機構によってばらばらにされてしまうくらいなら、自分たちの手で身売りした方がいいと頑張った。

酷な言い方だが、ダイエーが倒産の瀬戸際に立ったのは、本業以外の過大投資の咎めと「良くて安いもの」を提供し続ける本業での努力を怠ったためである。それを税金を使って再生するのはどうか。これはダイエー救済に名を借りた大手銀行救済に他ならないのだが、国が余計なことをすることで、かえって公正な自由競争を歪め、日本の金融、流通業界の体質を弱め、ひいては第二のダイエーやUFJを生むようなことになるのではないか。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊45号)

国と地方の財政改革(三位一体改革)の焦点である義務教育費国庫負担廃止をめぐるどたばた劇には呆れ果ててしまう。年間2兆5千億円の義務教育費補助金を廃止して、地方にその分の税源を移譲すれば、中央官庁の画一的なしばりが無くなり、地方の実情に合わせた教育ができる。例えば、学級編成が自由に行なえるし、外国語教育、不登校問題対応の専門家を臨時講師として採用するといったこともできる。これが地方自治体の言い分だ。

文部科学省は、そんなことをすれば自治体ごとに教育にかける費用がばらばらになって、教育水準に地域格差が生じ、日本の衰退を招くと絶対反対を唱える。これに文教族と呼ばれる族議員が呼応する。しかしそれは表向きのきれい事としか思えない。文科省予算の4割がこの補助金だから、もし地方に移ってしまえば、同省の権限は大幅に削がれてしまう。族議員は調整役としての出番が無くなり、各県知事に権力が移ってしまう。それでは困るというのが本音ではないか。

国による画一的教育の弊害は既に明らかなのだから、地方分権をやってみればいいのに、小泉首相はどうも腰砕けになりそうである。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊46号)

日本という国は借金漬けで首が回らない状態にある。国と地方を合わせた借金はなんと730兆円。これはオギャアと生まれたばかりの赤ちゃんも含めて、国民一人ずつが600万円もの借金を抱えている勘定である。

国家予算の一般会計の歳出規模はざっと82兆円、税金などによる歳入は47兆円だから、とても足りず、不足分は国債という手形を切ってまかなうことになる。この国債発行額が平成17年度は34兆円台と前年度よりやや減少する見込みだが、このうちの約20兆円分は過去に発行した国債の償還金と利払いで消えてしまう。さすがに慌てた高級官僚や政治家は財政収支均衡を唱え、国の収入を増やそうと増税路線に走る。人も車もめったに通らないような所にまで立派過ぎる道路を作るなど、予算の無駄遣いで膨らんだ借金を増税という形で国民に払わせようとする。

その前に、歳出を減らす努力こそ必要ではないか。まず役人の数を減らすべきであろう。何しろ国と地方合わせて400万人、隠れ蓑の特殊法人を合わせると450万人もの役人がいる。大勢の役人を養うだけで年間30兆円以上のお金がかかっているのだから。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊47号)

日本放送協会(NHK)が大揺れに揺れている。人気番組紅白歌合戦の責任者が、下請け業者に水増し請求させてはその金を吸い上げていたという。その他にも不祥事が次々に出て、さすがお人好しの国民も怒って、視聴料不払いが激増した。神経が異常に太そうな会長もこれには勝てず、事実上の辞意を表明した。

しかし、会長が辞めただけで、おかしくなったNHKがすぐに良くなるとは到底考えられない。それは、NHKの日々のテレビ、ラジオ番組を見たり聴いたりしていれば誰にでもわかる。紅白をはじめ、大河ドラマ、朝の連続小説、のど自慢など、NHKには看板番組と言われるものがたくさんある。それが最近は全てつまらなくなってしまった。素晴らしい番組だったのに、過去の人気に頼るだけだから、すっかり駄目になってしまった。

組織の上から下まで事なかれ主義が染みつき、何事も前例踏襲で行なうお役所仕事のとがめが出たのである。それが不祥事の温床を作り、番組をつまらなくすることにもなった。アナウンサーが猫なで声で「皆さまのNHK」などと取ってつけたようなことを言っても、この体質を変えない限り、「私たちのNHK」にはなりそうもない。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊48号)

2月9日に行なわれたサッカー・ワールドカップのアジア予選、日本対北朝鮮の試合は素晴らしかった。日本チームが貴重な勝点を上げたことももちろん良かったけれど、何よりも素晴らしかったのは観客のマナーの良さであった。

北朝鮮政府は拉致被害者の消息について明らかにしようとせず、横田めぐみさんの遺骨と称する真っ赤な贋物を提出し、それが他人の骨であることが判明すると、今度は日本側のDNA鑑定をねつ造だと強弁した。あまつさえ核兵器保有をちらつかせて威嚇する姿勢さえ見せている。そんなことから日本人の対北朝鮮感情は最悪になっており、サッカー会場には北朝鮮を攻撃する横断幕が掲げられたり、北朝鮮チームに対するヤジや怒号が出るのではないかと心配していた。それが全くなかったのである。

昨2004年夏に中国で開催されたサッカー・アジア・カップでは、中国人観客が日本チームや日本人観客に対して聞くに耐えない罵詈雑言を浴びせかけ、日本の外交官の車を壊すなど、無茶苦茶をやった。今回はそれと好対照をなした。日本人もずいぶん大人になったものだと感心した。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊49号)

今年は昭和80年。すなわちあの大戦争が終わって満60年ということになる。敗戦の年に生まれた人が還暦である。実際に戦地に駆り出された人たちや、「銃後の守り」と言われて、空襲による大火災の中を逃げ惑った人たちとなると、完全にお年寄りの部類である。

昭和20年3月10日の東京大空襲をはさむ前後数ヶ月間で、関東一円の都市部はほぼ焦土と化した。米軍機は超低空で飛んで来ては、これでもかとばかりに爆弾や焼夷弾を浴びせ、逃げ惑う人たちに機銃掃射を浴びせた。これによって十数万人が死に、行方不明者、負傷者は数がつかめないほど出た。あれほど強がりを言っていた大日本陸海軍はなす術を知らず、呪文のように徹底抗戦を唱えるばかりであった。

あの悲惨な経験を語り継ぐ世代が年々減り、戦争の恐怖を知らない人たちが世間をリードする時代になった。北朝鮮の核攻撃をちらつかせながらの脅迫的言辞に、対抗手段としての軍備保有をとの声が高まっている。しかし、戦争抑止力としての軍備は必ず軍拡競争をもたらし、新たな危機を生じる。このことを私たちはよく知っておく必要がある。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊50号)

日本が国連の常任理事国になることに中国や韓国が反対している。その理由として、日本軍部が第二次大戦中にあれほど近隣のアジア諸国を痛めつけたことを忘れて、小泉首相が戦争犯罪人を祀った靖国神社を参拝したり、戦争当時の日本のとった態度をうやむやにするような記述の教科書が出て来たりすることを挙げている。

中国ではこの問題に学生など若者が大規模なデモを行ない、日本製品ボイコット運動を繰り広げ、そうした動きを中国政府は半ば黙認している。しかし、私たちは中国や韓国のこうした姿勢にいらだったり、怒ったりする必要はない。その背景には、国民の不満を外に振り向けてしまおうとする両国の国内事情があるのだと考えるくらいの余裕を持ちたい。

むしろ日本は常任理事国になどなりたがらない方がいい。日本は米国に次ぐ国連分担金支出国であり、今や日本を除外した国連など考えられないのである。

また、中国や韓国にしても、自国の経済発展のために日本は欠かすことのできない存在になっている。だから日本は鷹揚に構えていればいいのである。そうすれば必ず新しい局面が開かれる。

(寒河柳太郎)

 

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