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わらび新聞

地蔵の小径バックナンバー No.7 一覧に戻る 1 2 3 4 5 6 7 8 9

地蔵の小径(復刊61号)

首都圏でビジネスホテルを展開し大成功を収めた東横インが、身障者用の駐車場スペースなどを確認検査後に客室やロビーに違法改築して槍玉に上げられた。違法の根拠となる法律は、平成15年4月に施行された「ハートビル法」である。

高齢者や身体の不自由な人たちの社会進出を助けるために、不特定の大勢の人たちが利用する2千平方メートル以上の建物を作る場合には、車椅子と人がすれ違える幅の廊下があること、車椅子のまま利用できるトイレがあること、目の不自由な人が利用しやすいエレベーターがあることなどが義務付けられた。

これはこれで立派な考え方である。弱者に暖かい目を向けるのが本当の政治である。しかし、これは一方でその種の施設コストの押し上げ要因となり、ひいては一般利用者の負担増につながる。社会的コストの上昇とも言える。このコスト上昇分を吸収する方法が問題で、単にコストアップを全国民に転嫁するだけでは、しまいには弱者レベルに合わせたコストアップ社会になり、日本は「弱い国」になって行かざるを得ない。

行政簡素化などで役人の数を減らし税軽減などのコスト低減策を考えなければいけない。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊62号)

「自民党は役所任せの場当たり、無原則な政党だ」。このセリフが小沢一郎氏から出たところが面白いし、また重みがある。何しろ小沢氏といえば、47歳の若さで自民党幹事長を務め、将来の首相一番手と言われた人である。

自民党の隅々まで知り尽くし、役人の体質と行動様式を十分理解した上で、それを利用し、豪腕を振るった。今を時めく小泉首相も当時は「変わり者」だの「離れ狼」だのと言われ、ほとんど問題にされていなかった。「改革」を真っ先に口にしたのは小沢さんで、小泉さんよりずっと早い。

その小沢さんが「死に体」と言われる民主党の代表となった。民主党は岡田、前原と短期間に代表が代わったが、これまで日本をどのように変えて行くのかについて明確なイメージを国民に訴えることができないままで来た。日米・日中問題をはじめとした外交問題や財政再建、税制、社会福祉問題などで、自民党と同じような、ある点では自民党よりもっと保守的な姿勢も見え、野党としての存在意義が見出せなかった。

政権与党のおかしなところを糾す姿勢、アンチテーゼを持たぬ野党など意味がない。小沢氏が豪腕をどのように降るって「二大政党制」を構築するのか、見守って行きたい。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊63号)

近ごろ政府の打ち出す政策にはおかしなものが多いが、中でも驚いたのが「小学校から英語を必修に」という方針である。これは中央教育審議会の「提言」だから、未だ本決まりというわけではない。しかしこうした議論の筋書きは文科省のこしらえたものに違いないから、政府部内にはかなり本気になっている向きが多いことが明らかである。

背景には、国際語である英語を話せる国民を増やすために、小学校の頃から慣れ親しませることが必要という考えがあるようである。確かに国際化社会では英語を自由に操れるようになることは有利である。しかし、現在の小学校教育えではもっと他にやるべきことがあるのではないか。

頭の柔軟な子供時代に「読み書きそろばん」をきっちり教え、人が生きて行く上での基本である「社会生活のルール」を身につけさせることこそ優先すべきであろう。こうした基本が身についていれば、中学生になってからの学習で「使える英語」は十分会得できる。日本語の読み書きも満足に出来ず、算数も分からず、常識もわきまえず、ただちゃらちゃらと片言の英語を振り回す若者をこれ以上増やしてどうしようと言うのか。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊64号)

「村上ファンド」の村上世彰代表(46)がインサイダー取引容疑で6月5日、東京地検特捜部に逮捕された。一昨年11月にライブドアがニッポン放送株を大量取得することを事前に知って、自らも買い込み高値で売って不正利益を上げたという疑いである。こうしたインチキな株取引が許されないことは言うまでもない。罪が明らかに証明された暁には厳罰をもって臨んでもらいたい。

しかし、村上容疑者の行為には大いに賞賛されるべきものもある。それは株式上場企業の経営者に「ちゃんとした経営を行え」と警鐘を鳴らしたことである。

株式上場によって不特定多数の投資家から資金を集めておきながら、銀行や企業間の株式持合いで安全を図り、恣意的な経営や、努力を怠って得べかりし利益追求機会を逸したり、またそうした経営内容などの情報を一般株主に知らせないという「ぬるま湯経営」を行ってきた。そういう企業の株をひそかに買い集め、一定量に達したところで追求ののろしを上げたわけだ。

「村上の不正」だけ叩き、種々の規制を設けたりすることは、ぬるま湯経営者を安心させるだけで、日本経済がまた足腰を弱めてしまうことになる。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊65号)

サッカーW杯大会や北朝鮮のミサイル発射騒ぎで、村上ファンドに出資して大金を稼いだ日銀総裁の話題は忘れられた形だが、こういう問題にきちんと決着をつけることが、今の日本には最も重要なことである。

日本銀行は中央銀行として銀行券発行、公定歩合(金利)の決定などを行う重要な機関で、日本の経済・金融の要である。その総裁がインサイダー取引容疑で逮捕されたファンド代表に共鳴して千万円拠出し巨額の利益を挙げていた。

副総裁を辞任して民間人だった時代の話だからとか、日銀の内規には違反していないからなどと言いわけをした。儲けたカネは元金共々寄付するという。これを機会に日銀の内部規定を厳しく改め、こういうことが二度と起こらないようにするともいう。それで決着、ということでいいのだろうか。

いやしくも日銀総裁たる者が国民から疑惑を持たれるような行為をした。そういう人が総裁の座に居座り、金融のかじ取りをし続ける。それを首相も財界首脳もむしろ容認する姿勢である。恐るべき倫理観の欠如である。リーダーがこれでは、国全体にモラル破綻の病菌が蔓延してしまう。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊66号)

8月14日朝、東京、神奈川、千葉の一部で発生した停電事故は、大都市の弱さを強烈に印象づけた。たった1隻のクレーン船が旧江戸川を渡る送電線を傷つけたというだけで、1都2県の139万箇所(家庭と企業)が大混乱に陥った。蕨市をはじめ埼玉県では停電は起こらなかったが、東京への通勤通学者が多いから、東京メトロの運転中止による被害を蒙った人がかなりあったに違いない。

停電すると大都市は完全にお手上げになる。電車が止まるだけではない。電灯が消えてしまった地下街や駅構内は危険極まりない迷路と化す。地上も信号機が点灯しなくなるから道路交通がたちまち大混乱。冷蔵庫が動かないから生鮮食品を扱う店はお手上げ。高層ビルでエレベーターが止まってしまうと住民は動きが取れず、上層階まで水を汲み上げるポンプが止まって飲料水にも事欠く。都市ガスの供給にも支障が出る。

今回の停電はわずか3時間だったが、これがもし半日でも続いたらどんな事態になっただろうか。首都圏に住む私たちは、いざという時にどのように対応すべきか、ひとりひとりが日頃から考えておく必要があることを教えてくれた。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊67号)

子どもが母親を殺したり、放火したり、友達を刺したり、校内で暴力をするったりする事件が頻発している。そういう子ども達が増えてきた背景には、大人も子どもも含めて、この世の中には「違い」というものがあることを理解し、認め合う考え方を失ってしまったことがあるように思う。

日本が豊かになって来た過程で、「1億総中流」と言われ、万民平等こそが正義という思想が行き渡った。それはまことに結構なことなのだが、「平等イコールみんな同じ」という誤解を生んでしまった。

現実にはそんなことはあり得ない。十人十色と言うように、人はすべて容姿が異なり、考え方も行動も違う。同級生それぞれが違う考えを持ち、異なる動きをする。親子だって考え方は微妙に違う。置かれた環境によって貧富の差が生じることもあろう。この「違い」を認めなければ、争いが生じるのは当然である。

「違い」を理解し容認し、それをバネに頑張る根性が重要なのだが、学校でも家庭でも相変わらず「みんな仲良く、平等に」と教え込む。にもかかわらず、厳然としてある「違い」に気づいた子どもは爆発してしまう。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊68号)

北朝鮮はやはり核実験に踏み切った。アメリカから徹底的に袖にされ、世界中で北朝鮮に理解を示す国は数少ない。波風が立っていた日中韓三国の関係も修復に向かい始めた。このままでは孤立状態がますます深まるばかりである。存在感を示すために最後の切り札を切ったのであろう。日本としてはこのような暴挙に対して断固たる制裁処置を取ることは当然だが、政府も国民も感情的にならないよう自制することが大切である。

北朝鮮が核武装国になると、心配なのは日本にも「我々も核保有国になるべきだ」という感情が芽生えて来ることである。核兵器を持てば敵対国が安易に攻撃を仕掛けるのをためらうはずだという「核抑止力」理論があり、軍拡主義者には魅力的である。このような考えを基に日本が動き始めれば、当然、韓国も持とうとするし、台湾も、そして東南アジア諸国も追随することになる。そうなったら地獄である。

既にアメリカの有識者の中にはそうした事態になることを憂慮する声が上がっている。時あたかも憲法改正論者の安倍首相が登場した。「日本は非核三原則を堅持する」と国会答弁したが、その姿勢を堅持してくれることを望む。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊69号)

いま私たち一人一人が真剣に考えなければいけないことの一つに、外国人との共生問題がある。既に日本の労働者に占める外国人比率は1パーセントを越え、外国人留学生や短期滞在者のアルバイト、不法滞在の就労者を含めれば優に100万人を超えているとも言われている。飲食店や24時間営業のコンビニなど、外国人労働者無しには成り立たない業種も生まれている。

日本の経済力が高まり、生活が豊かになるにつれ、「きつい・汚い・危険」のいわゆる3K労働を嫌う風潮が強まった。一方、雇用者側もコスト削減意識から、未熟練労働者でもこなせる職種には低賃金で雇える外国人を競って雇い入れるようになった。今後、急速に進む少子高齢化で日本の労働人口は減少する一方だから、この傾向はさらに進み、欧米並みに外国人労働者が5〜8パーセント台になるのは時間の問題であろう。9月にフィリピンとの間で締結した経済連携協定でフィリピン人看護士や介護福祉士の受け入れを始めるのも、そうした機運の具体化の一歩である。

日本人は風俗習慣の異なる外国人との共生には極めて不慣れである。差別意識を捨て、上手に折り合いをつけて行く道を探らねばならない。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊70号)

エイズ、鳥インフルエンザ、サーズ、さらにはラッサ熱、マールブルク熱、エボラ出血熱等々、恐ろしい病気が続々と登場している。これらはいずれもウィルスが原因で起こる。ウィルスは1個の遺伝子が殻をかぶった、ごく微小な生物とも無生物ともつかない物体で、それ自体では生きられないが、動物の細胞の中に入り込むと、その細胞の遺伝子の同類と化して増殖し始め、やがては細胞を破壊したり変形させたりして、ついには家主(宿主)であるその動物を殺してしまう。

本来、宿主を殺してしまっては自分の住処も失ってしまうわけだから、ウィルスも元々の宿主であるアフリカのミドリザルだとかノネズミの脳細胞では大人しく共存していたのだが、一旦、人間の体内に巣くうと猛烈にはびこり出して悪さをする。世の中が進んで地球上の人の往来が激しくなったため、ひっそりと未開の地の動物の体内にあったウィルスが急速に全世界に広まるようになった。21世紀、人類が本腰を入れて戦わなければいけない相手は「ウィルス」である。近刊の「動物ウィルスが人間を襲う」(中島捷久・澤井仁著、PHP研究所)という本がこんな警鐘を鳴らしている。

(寒河柳太郎)

 

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