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わらび新聞

地蔵の小径バックナンバー No.8 一覧に戻る 1 2 3 4 5 6 7 8 9

地蔵の小径(復刊71号)

洋菓子の老舗不二家による消費期限切れ牛乳の使用問題が大騒ぎになっている。定年後にパート社員として再雇用されていたベテランの洋菓子職人が、色や匂い、味で大丈夫と判断して使ったという。製造に関する社内規定よりもベテランの勘が優先される空気が支配していたのだろう。

さらに良くないのは、経営幹部が昨年11月にこの事実を知りながら、隠ぺいしてしまったことである。世は情報化時代、こういうことは隠しおおせるものではない。すぐさま善後策を講じる一方、すみやかに公表し「再発防止のためにこういう手を打ちました」とあやまっていたら、それこそ中毒事故などは起こっていなかったのだから、逆に「不二家はさすが良心的だ」という評判が立てられていたかも知れない。

昭和の初めから横浜伊勢佐木町や東京・銀座でシュークリーム、ショートケーキなどのハイカラな洋菓子を売り始め、戦後はペコちゃんのミルキーで一斉を風靡した老舗もこれで風前の灯となった。「臭いものに蓋」が最悪の事態を招く、典型的事例として語り継がれることになりそうだ。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊72号)

「格差是正」という言葉がさかんに飛び交っている。90年代初めのバブル崩壊から立ち直るために、政府、日銀はゼロ金利政策や税金投入による銀行の不良債権問題の解消といった景気浮揚策を打ち出し、民間企業も賃上げストップ、リストラという名の人員削減を行った。その結果ほぼ10年で日本経済は立ち直った。日本経済新聞によると上場企業の07年3月期の経常利益は4年連続の最高益更新が確実だという。それに伴い国庫に入る税収も大幅に伸び、財政赤字(国の借金)膨張にも歯止めがかかった。

それはそれで大いに結構なことだが、その一方で、国民の間で貧富の差が目立つようになってきた。企業のコスト削減策などの影響を被った弱者が益々犠牲を強いられる世の中になっている。

立直しできたなら、それを支えた人たちに還元するのが筋なのだが、今度は「国際競争力強化」を旗印に賃金上昇を抑え、法人税引き下げ・消費税引き上げという動きが出ている。目先的には効き目のある手ではあるが、長期的には民を疲弊させる恐れがある。民のかまどに煙が立たなくなっては国はほろびてしまう。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊73号)

毎朝犬を連れて往復3キロほどの道を散歩しているが、ペットブームというのだろうか、同じような人が多いのに今更ながらびっくるする。マンションや庭のほとんど無い狭小住宅住まいの故だろうか、小型犬が圧倒的に多いのも最近の特徴である。

それにしてもマナーの悪い飼い主が多いのはどうしたことだろう。犬の習性として電柱や塀などにオシッコをひっかけてしまうのは仕方が無いことで、これはまだ許せる。しかし、糞をした場合には必ず拾い取るのが飼い主の責任であるはずなので、そのままで行き過ぎてしまう人がいる。小型のダックスフントやコッカスパニエルなどを引いた洒落た装いの若い女性などに、「知らんぷり飼い主」が結構多い。たまたまそうした現場に遭遇して注意したら、物凄い形相で睨みつけられ、何もせずにすたすた行ってしまったのには呆れた。こういう手合が不始末で出来た子供をマンションの窓から放り投げたりするのではないか。

非常識な飼い主が増えてくると、必ずや条例で取り締まるべきだという声が高まる。何でも法律に縛られた窮屈な社会を自ら招いているようなものである。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊74号)

フジテレビが放映していた「あるある」なんとかという番組がうそっぱちだったということで非難を浴び、それを制作していた関西テレビの社長が辞任した。納豆を食べるとどうとか、毎週手を変え品を変えて馬鹿馬鹿しい番組を作っては放映する。まことしやかに画面に出していたデータや識者の意見がねつ造だったというのだから話にもならない。

大騒ぎを横目に、たいがいの人は「ああまたか」と思っている。「皆様のNHK」ですら、「やらせ」ではないのかと思われるような過剰演出が目立つ。視聴率競争に狂奔しているテレビ界では「見てもらえなければ一文にもならない」という思想がすべてを支配しているから、どうしたって大向こう受けするような刺激的な演出にならざるを得ない。

テレビ電波は国家管理の下にあるから、こうした失態が明るみに出ると必ず役人がくちばしを入れて来る。そして、時の国家権力に都合の良い放送が行われるように「指導」される。これは非常に危険である。今やマスコミの主流になったテレビ界の人間がそういうことを自覚していないことに寒気を感じる。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊75号)

高校球児に対する「特待生制度」問題がなんでこんな騒ぎになるのか、不思議でならない。春のセンバツ高校野球は大混乱になりそうだ。

「日本学生野球憲章」という学生野球の憲法みたいなものがあって、野球がうまいからという理由で学費や生活費などを支給することを禁じている。それに従って日本高校野球連盟(高野連)が加盟校に問い合わせたところ、なんと全体の半数にあたる367校が「特待生制度」を設けていたことが分かった。

しかし、いわゆる「野球学校」と言われる高校が学費免除や生活費援助を餌に野球少年を全国規模で集めていることは周知の事実だった。イチロー、マツイ、マツザカなどの名選手をはじめ、日本のプロ野球を支えている選手たちの多くがこうした優遇策のもとで育てられたことはほぼ間違いないだろう。それを今更「けしからん」と言うのは何故だろう。高野連の独りよがり、偽善の臭いすらする。勉強ができなくても野球はうまい、という子供だって大勢いるだろう。そういう子供たちの才能を伸ばしてやる制度があってもちっともおかしくはないと思うのだが。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊76号)

日本の企業の3分の2くらいが決算期を3月と決めているため、6月の末は株主総会が目白押しとなる。株主総会は年に一度、経営陣が株主に会社の現況を報告し了承を求める、企業にとって最も重要なイベントである。

ところがつい先頃までは、取引銀行や関係の深い取引先会社など大株主に対して事前に根回しし、総会はものの3分で終了ということが多かった。しかし、日本企業の国際化でカイジン株主が3割にも、時には半分以上にもなってきて、こうした「なれあい総会」は少なくなった。さらに株式市場大衆化で、株主の権利主張の声がますます高まってきた。

中には、経営陣と従業員の努力の結果立派に成長した企業の株を、資金力にモノを言わせて買い集め、経営権を奪取してしまうといった乱暴なファンド株主も無いではない。ただ、あえてこうした株主をも含めて、「株主が物を言うようになった」最近の傾向は良しとすべきだと言いたい。企業経営にとって最も大切な株主をあまりにもないがしろにして来た大方の日本の株式会社が、考えを改めこの荒波をかい潜ってこそ、本当の国際企業になる道を見出すことができるからである。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊77号)

人間は「万物の霊長」などと威張っているけれど、とても完全無欠な生物とは言えないようである。犬、猫、ライオン、チンパンジーなどに比べれば多少は知恵があるから、地球上で王者になっているに過ぎない。SF作家が説くように、もし他の惑星に進んだ生命体がいて、地球を征服しようと行動を起こしたら、たちまちやられてしまうに違いない。

ほぼ50万年前にこの世に原人が現れ、それが進化して今日の我々の祖先である新人が出現したのは高だか1万2千年前のことだという。平均寿命80歳なにがしを尺度にすれば1万年というのは気の遠くなる長さだが、生物進化の過程から見れば、これは極めて短い。そんな短期間で人類は驚異的な進化を遂げ、一瞬にして数十万人を殺せる爆弾を生み、月世界にまで旅行できる運搬器具を作るようになった。

それなのに、である。自分たちが住む地球をぶち壊すような暮らしを平然と行っている。戦争や環境破壊など、いずれも過剰な自己主張、自己防衛意識から出たものである。進化の過程で、人間はこれを制御する能力だけは身につけなかった。他の惑星から攻められる前に、人類は互いに傷つけ合って自滅してしまいそうである。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊78号)

7月の参院選で民主党が大勝した。事前予測で自民党の旗色が悪いことは分かっていたが、これほどの惨敗とは思ってもみなかった。「総理には私がふさわしいか、小沢さんがふさわしいか、国民がそれを判定するのが今度の参院選」と大見得を切った安倍さんが、歴然たる結果を突きつけられたにもかかわらず居直ったから、自民党内部にはもやもやした空気が漂っている。

しかし、こんな状況で衆院解散・総選挙となれば政権交代はほぼ確実だから、自公両党としては不満ながらも安倍首相を支えて何とか早期の解散を避ける道を探る。そうはさせじと民主党は他の野党を抱え込んで自公政権攻撃を激化させる。

とは言っても、民主党も弱点だらけである。小沢党首がテロ対策特別措置法の延長に明確に反対したのは、何でもアメリカの言いなりという自民党の姿勢に明確に刃を突きつけたものとして評価する声が高い。しかし、党首を支えるはずの管党首代行や鳩山幹事長は条件次第というような発言をしている。一般党員レベルになれば四分五裂で、タガをはめようがないほどばらばらである。攻める側も攻められる側もよたよたで、当分は大混乱が続きそうである。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊79号)

参院選大敗にもかかわらず不退転の決意で難局に当たると首相の座に居座った人が、まさか国会幕開けに代表質問を受ける自信が無くなったと突然辞任表明するなどとは考えもしなかった。これで焦点のテロ対策特別措置法に代わる新法の国会審議は大幅に遅れ、結果として安倍さんが力説していた「国際社会に対する信義」を貫くことは事実上不可能になった。つまり、11月1日以降、ブッシュ政権が望んでいる海上自衛艦によるインド洋上での給油支援活動が行えなくなるのである。

マスコミはこれをさも大変なことのように騒いでいるが、内政上の問題で国際活動に変化が生じることを諸外国に発表することは別に不思議でも何でもなく、どの国にも起こることである。ブッシュ政権との確約を反故にしてしまうことを恥じて首相の座を抛擲することの方が、よほどおかしいのである。当のアメリカですら、国内にはイラクやアフガンに対する過剰な介入を疑問視する意見が続々と出ている。

新首相には内政外交合わせて日本の行くべき道をはっきり示すこと、それが無理ならばせめてその道筋を明らかにするシステム作りを望む。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊80号)

農薬や化学肥料を使用していない農産物や加工食品に付けられている「有機JASマーク」が、実は当てにならないという新聞記事(10月11日付け日本経済新聞夕刊)を見て愕然とした。

90年代後半から「有機」「無農薬」などと勝手に名乗る品物が店頭にあふれ消費者はとまどった。そこで2000年にJAS(日本農業規格)法が改正され、農林水産省が独立行政法人農林水産安全技術センター(さいたま市)の指導協力の下、全国各地の農産物・食品の指定登録認定期間を通じて、「本当の無農薬無化学肥料産品」を証明するマークを付けさせるようにした。

つまり「LASマーク」は国のお墨付きである。ところがその登録認定機関の審査や管理がずさんで、農薬や化学肥料を用いている生産者が有機マークを付けて出荷するのをチェックできなかったというのである。

「国の認定」とあれば誰でも信用する。それがいい加減なものであるとなれば、何を信じれば良いのか。そんなずさんな「認定」を行わせるために、国民は税金を払い高給の役人を雇っているわけではないのだ。

(寒河柳太郎)

 

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