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わらび新聞

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地蔵の小径(復刊81号)

プリンタのインクカートリッジのリサイクル品をめぐる特許権訴訟で、最高裁は11月8日、リサイクル品の販売禁止などを求めたキャノンの訴えを認める判決を下した。

知恵とお金をつぎこんで素晴らしい製品を作ったら、その使用済みカートリッジにインクを詰め替えて安く売る手合が現われ市場が荒らされた。こんなことを放置しておけば、新製品開発に努力するのが馬鹿馬鹿しくなり、ひいては技術立国ニッポンの前途も危うくなってしまう。という純正品擁護派の言い分はもっともである。

しかし、利用者の立場から言えば、この判決は理解できるけれどもうひとつ納得しかねる。というのはキャノンに限らず、プリンターのインクがあまりにも高過ぎることと、使用済みカートリッジが使い捨て、あるいは1回で溶かされてしまうことに対する「もったいない」という感じがあるからである。

いまやパソコンとプリンターが一般家庭の常備器具となった時代、インクは必需品。それが、1個千円以上もするのではたまらない。リサイクル品が消費者には救いの神ともなっている現実を、純正品メーカーは肝に銘じ、価格引下げ努力をしてもらいたい。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊82号)

あれよと言う間に12月。今年もいろいろなことがあった。与党自民党がますます弱体化する一方で、それに代わって政権を担うべき対抗勢力がさっぱり育たないから、平成20年も引き続き不安定な状態が続きそうだ。

まず日本経済だの行方だが、頼りとする米国の景気にはっきりと陰りが見えているのが心配だ。北京五輪でバブル状態になった中国も今がピークで、これからはその反動を警戒しなければいけない。欧州各国はユーロ高で一見勢い良く見えるが、それもドル安に引きずられた部分がかなりあり、市民生活の実態などを見ると高すぎるユーロの咎めも出ている。グローバルな状況をうかがうと、輸出が命の日本にとっては暗雲立ち込めている。

さらに困るのが原油高。米国経済の行き先に見切りを付けた足の速い投機筋が、だぶつくドルを原油市場に注ぎ込んだのが石油高騰の元凶に間違いない。被害を真っ先に蒙るのはエネルギー資源を全く持たない日本である。早くもそれが物価高となって現われている。収入は上がらず支出が増えるという面白くない子年になるかも知れない。ネズミのように細心に臆病に、生活防衛しなければなるまい。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊83号)

先月号に「子年の日本は政治・経済情勢がますます不安定になる」と不景気な話を書いたが、どうやら悪い予感が当たってしまったようだ。年明け早々株式相場はがらがらと下げ続けている。日本経済の先行きに見切りを付けた外国人投資家が日本の株を売って、新興国株式や原油を始めとした商品先物に乗り換えたからだ。

企業経営者は先行きに不安感を抱き、昨年暮れごろにはあった「賃上げ容認論」をさっさと引っ込め、厳しい春闘になりそうだ。しかしそれに対抗すべき労組が政界同様ひと頃の迫力を失っているから、結局は賃上げ抑制論を呑まざるを得まい。しわ寄せは一般社員、特に契約・派遣社員といった弱いところに強く現われることになろう。

一方、石油を筆頭に鉱物・食料資源は高騰を続け、それが物価にはね返る。収入が増えず物価が上がれば、当然のことながら消費は沈滞、それがまた日本の景気落ち込みに拍車をかける。

こういう時こそ政府、日銀、そしてそれを引っ張っていく政治家が頑張ってくれなければ困る。われわれ庶民はしっかりと家計防衛しながら、政治や行政の動きをしっかり見つめて行かねばならない。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊84号)

いんちき商品騒ぎはついに外国産にまで飛び火した。今回の「冷凍ギョウザ事件」は賞味期限の偽りなどという生やさしいものではなく、「毒入り」だから事は重大である。

日本にとって今や中国は無くてはならない存在になっている。その中国との関係は昨年まで数年間、極めて冷え切った関係になっていたのだが、このところかなり打ち解けるようになった。それを今回の事件で再びぎくしゃくさせてはよろしくないと、日本政府は苦慮している。しかし、日中関係緊密化と毒入りギョウザの真相解明は全く別次元の話である。

どこに原因があり、どうすればこうした忌まわしい事件が根絶できるのかを徹底究明してこそ、本当に相互信頼できる日中関係が築ける。

食料自給率が先進国中最低の30%台に落ち込んだ日本は、中国を筆頭に諸外国からの食品を頼る以外に、国民は生きて行けなくなっている。水際で危険食品を単知恵d着るシステムを完備するとともに、こうした事件が起こった時には輸出国政府と協力して素早く真相究明できる「交渉力」を政府がしっかり身につけておくことが不可欠である。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊85号)

6月1日から改正道路交通法が施行され、自転車の歩道走行が正式に認められるという。これまでも車両交通量の多い道路では、歩行者の邪魔をしないように歩道を走っても良いとされてはいたが、あくまでも「特例」であった。それがいよいよ「運転者が13歳未満と70歳以上のお年寄りの場合」という限定付きだが、「正式に」認められることになったのである。しかしこれは考え方が逆ではないか。

やみくもにベルを鳴らしたり、急ブレーキの音をきしらせ、歩行者を押しのけるように歩道を走る自転車が多い。時には猛スピードで、歩行者に怪我を負わせたりする。そもそも道路というのは人の歩行のためにあり、安心して歩くことのできない歩道などとんでもない話である。

自動車を走りやすくするために自転車を歩道に押しやる便法を考え出したのだろうが、自動車走行を優先する考え方は、未開発国の特徴である。自転車は健康に良いし、便利な乗物だし、もっと愛用者増えても良い。歩道走行などという姑息な手段でなく、車道を削って自転車専用道を作るべきではないのか。そのため必要とあらば、町の中心部への自動車乗り入れ制限をするくらいのことを考えた方が良い。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊86号)

すったもんだの日銀総裁問題は白川副総裁の昇格ということでようやく決着した。事の起こりは民主党が財務省(旧大蔵省)の役人の天下りに反対したことである。

福田首相は「財務省出身者が絶対にいけないという姿勢はおかしい」と民主党を批判した。これに対して小沢民主党党首は「日銀正副総裁に必ず財務省出身者が座るという官僚の既得権益を無くさなければいけないのだ」と反論した。

筋論から言えば小沢氏の方が正しいのだろう。明治以来日本は中央官庁の高級役人が国を切り盛りする体制をとってきた。それが制度疲労を起し、各方面でさまざまな問題を生じ、構造改革の必要性が叫ばれるようになった。

官僚が全てを牛耳るようなシステムを変えなければいけないというのは正論である。しかし何と言っても中央官庁には人材が揃っている。そういう人材を天下り禁止として活躍させないというのは国家的損失とも言える。さらに、これまですべてを「役人任せ」にして来たことを誰かがやらなければいけないという問題も生じる。政界、財界、さらには国民全員が分相応に努力しないと「官僚の既得権益」など無くすことはできない。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊87号)

高級料亭「吉兆」グループの一つ船場吉兆が、客の食べ残しを別の客に出していたことが分かって、大騒ぎになった。東京サミットの日本料理担当であり世界的にも有名な料理屋がこういうことをやっていたとは本当にびっくりした。

しかし考えてみれば、こういう所に来る客は「吉兆で食べている」ことを喜んでいるだけで、食べ物の良し悪しや味が本当に分かる人が少ないから焼き直しや揚げ直しでも通用したのだろう。それに大方は社用接待の場として利用され、客は中高年が多いから、箸をつけない料理もかなり出たに違いない。

これをそのまま捨ててしまうのは「もったいない」というのはむしろ自然であり、再利用を考えることは結構なことだと思う。問題は「吉兆ともあろうものが」ということである。「お一人様四万円より」などとしてあるが、実際のところ一見(いちげん)の客は入れず、一人前十万円ということもめずらしくないと言われている店である。食べ残しを次に回すというのは、代金の二重取りという理屈にもなる。

そして一番の罪は、世間の人たちに「料理屋はどこもそんなことをやっているのではないか」という疑いを抱かせてしまったことである。

(寒河柳太郎)

 

地蔵の小径(復刊88号)

六月八日日曜日の正午過ぎ、東京・秋葉原の歩行者天国を一瞬にして地獄に変えた無差別殺人には背筋を寒くした。同じことが我が身に振りかかってくる恐れが十分にあるという恐怖感と、こうした凶悪事件が頻々として起るのは「日本が病んでしまった」ためではないかという不安感。この二つがないまぜになって言いようのない絶望的な気持ちに襲われた。

犯行予告メールの把握方法の研究、銃刀法の改正、警察による警備強化などと、各閣僚はじめ政府高官は対処療法めいたことを口にしているが、いくら警官を増やしたところでこうした事件は無くならない。

犯人には無論一点の弁護の余地も無いが、犯行に至った動機とおぼしき「何もかも面白くなくてやった」という供述には考えさせられるところがある。今の日本は階層化が徐々に進み始め、社会全体にぎすぎすした空気が流れ、国民の大多数が多かれ少なかれ「何もかも面白くない」という思いを抱いている。こうした「ゆがみ」を解消することが、この種の事件を防ぐことにつながり、それがまさに為政者と言われる政治家と高級官僚の務めである。

(寒河柳太郎)

 

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