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六月八日日曜日の正午過ぎ、東京・秋葉原の歩行者天国を一瞬にして地獄に変えた無差別殺人には背筋を寒くした。同じことが我が身に振りかかってくる恐れが十分にあるという恐怖感と、こうした凶悪事件が頻々として起るのは「日本が病んでしまった」ためではないかという不安感。この二つがないまぜになって言いようのない絶望的な気持ちに襲われた。
犯行予告メールの把握方法の研究、銃刀法の改正、警察による警備強化などと、各閣僚はじめ政府高官は対処療法めいたことを口にしているが、いくら警官を増やしたところでこうした事件は無くならない。
犯人には無論一点の弁護の余地も無いが、犯行に至った動機とおぼしき「何もかも面白くなくてやった」という供述には考えさせられるところがある。今の日本は階層化が徐々に進み始め、社会全体にぎすぎすした空気が流れ、国民の大多数が多かれ少なかれ「何もかも面白くない」という思いを抱いている。こうした「ゆがみ」を解消することが、この種の事件を防ぐことにつながり、それがまさに為政者と言われる政治家と高級官僚の務めである。
(寒河柳太郎)
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